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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
どうやら、若い男女の痴話喧嘩らしい。
女が高い声で男を何やら罵倒し、男は必死になって女を宥めようとしている。
二人の揉み合いを興味津々眺めていたが、目が馴れるうちに見覚えのある人物だと思い、真歩は顔をフロントガラスに近付けて、あっと声をあげた。
「あれって……確か……清崎……ていう剛さんのガールフレンドに……
菊野をこの間家で襲った……」
警報音に掻き消されながらも、所々彼らの言い争う声が聞こえてくる。
「……も……の事は……ほって……よ」
「バカなこと……じゃない!!」
「何よっ……あきらは……な癖に……っ」
「とにかく……だ!」
「嫌よっ……もう……なの!」
真歩は唖然としながら二人を見て、「今のコーコーセイって……何だか進んでる子は進んでるというか……」
と呟くが、清崎の
「もういいの……飛び込んで死んでやるんだから!!」
という叫びがハッキリと耳に届き、慌てて車を隅に寄せハザードランプをつけ、車から降りた。