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愛しては、ならない
第50章 それぞれの決別②
真歩は、今頃悟志と菊野が何をしているだろうか、とふと思う。
穏やかに、優しい時間を過ごせているだろうか?
悟志は、菊野を抱き締めているだろうか?
その光景を思い描くだけで胸が傷み、涙が滲んだ。
もう、悟志の人生と自分の人生を重ね合わせるのは止めた。
彼は何があっても、菊野を一生涯愛するだろう。
自分はもう、彼の事で心を煩わせるのは止めにするのだ。
ただ暫くは、辛いだろう。時々、泣いてしまう夜もあるだろうけれど……
そう、今みたいに。
頬に涙が伝う前に、指で素早く拭って二人の背中を押した。
「ささ!今度こそ帰るよ!……それとも、おねーさんとどっか遊びに行く?」
「僕らは未成年なんで、もう帰らなきゃならない時間ですから」
冷静な森本の答えに真歩は軽くずっこけて彼の頭を軽く叩いた。
「な――によ、急にイイコぶっちゃって!」