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愛しては、ならない
第50章 それぞれの決別②
帰りの車中、後部席で窓の外を眺めていた清崎は、ふと小さく呟いた。
「……私、もう一度、剛君にぶつかってみる……」
森本は、その言葉に目を見開くが、柔らかく微笑み彼女の頭を撫でた。
「うん……頑張れ」
「菊野さんとの仲を壊すとかどうとかじゃなくて……ちゃんと正面から自分の気持ちを伝える……」
「えっ……やっぱり、剛さんと菊野って、そうだったの?」
運転しながら目を剥く真歩は、危うく赤信号を突っ切りそうになり、急ブレーキをかけた。
弾みで後ろの二人は前の座席に顔をぶつけ、ブーイングが起こる。
「もうっ!運転中は集中して下さいっ」
清崎に怒られるが、真歩はミラー越しに二人を見て、もう一度訊ねた。
「剛さんと菊野は……そういう仲……なの?」
森本は掌で口を押さえ狼狽えるが、清崎はあっさりと頷いた。
真歩は、その返答に怒りよりも、自分の中の腑に落ちなかった部分が判明してスッキリとした物を感じた。
「そう……そうなの……そっか……」
信号が青に変わり、真歩はアクセルを踏んだ。