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愛しては、ならない
第50章 それぞれの決別②
「ふあああ……じゃあ、少年に少女よ、おやすみ~」
真歩は、駅前の高層マンションの前で二人を降ろしてドアを開けて欠伸しながら手を振る。
「お姉さんも、帰り居眠りしちゃダメだよ――」
「ふん……わがっでるぼ……」
真歩は半分閉じた目を二人に向け、車を再び走らせるが、エントランスに入っていく森本達の後ろ姿を見て、あっと口を大きく開けて頷いた。
「てか……あの子達、当然みたいに一緒のマンションへ入ってったわね……
て、私も気付くの遅……ふあああ……なんだか疲れちゃったわ……今夜はスペシャルパックして寝よ……
なんか、エネルギー吸いとられて十年くらい老けた感じが……あああ嫌だ嫌だ」
喉の奥が見えてしまう程の大きな欠伸をしていると、スマホが大音量で鳴った。
『いいでしょう奥さん――!一度だけっ一度だけだからさ――!いいでしょう奥さん――!一度』
こんなふざけた着メロにしてしまったことを心の底から後悔しながら真歩は路肩に停車して電話に出た。