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愛しては、ならない
第50章 それぞれの決別②
『……もしもし……ま……っ……うううっ』
いきなり大泣きの声が聴こえてきて、真歩はこめかみを押さえて溜め息を吐く。
「菊野?菊野ね?……どうしたの、落ち着きなさい」
『まっまぼ……わた……わたじ……っ……』
「はいはい、聴こえてるから」
『ごめんべ……あじだ早いのに……電話じちゃっで』
「いいわよ。私は自分の事だけやって寝るだけだから……
あんたこそ、悟志さんとラブラブして寝たかと思ってたわ」
真歩は、自分でそう言っておきながら切なくなって胸が痛む。
菊野が悟志との事をのろけて電話して来る訳がないとは思っていた。
何かあったのだろう。それも、あまり良くない事が。
「……ねえ、どうしたの?」
しゃくりあげて上手く話せない状態の様で、苦しそうな息遣いに真歩まで息苦しさをおぼえてきた。
『さ……悟志さんが――』
「悟志さんが、どうしたのよ」
真歩は思わず声が大きくなっていた。