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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で



『……っ……誰だ』



俺は、彼女に腰を打ち付けながら、姿の見えない声の主に凄む。

彼女は腕の中で甘い声をあげ、自らも腰を振っていた。



『ああ……ああっ……剛さん……好きよ……愛してるわ』

『菊野……菊野っ』



――お前が抱いているその女は、他の男の物だろう――



その言葉に、ギクリとして一瞬動きを止める俺に、菊野は恨めしい眼差しを向け、動けとせがむように腰を廻した。



『うっ……』



それが更に淫らに俺を刺激して、彼女を一層烈しく突き上げる。

彼女の身体が揺れて、長い髪も揺らめき、俺の腕に絡み付いて来る。



――教えてやろう……その女はな……お前を愛してる訳じゃないんだよ……



『黙れっ……俺は彼女を好きで……彼女も、俺を愛してくれているんだっ……』



俺は、菊野を打ち付けながら、またも聴こえる低い声に言い返すように叫んだ。

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