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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で


『あっ……頬っぺたが赤くなっちゃった……ごめ――ん!』



彼女は頬を小さな手で擦るが、俺と目が合うと俯いてしまった。

頬だけでなく、小さな耳までが真っ赤に染まっているのを見て、可笑しくなってきてしまい吹き出すと、彼女は怒って拳骨で叩いてきた。

俺は腕で庇いながら笑いが止まらず、彼女を益々怒らせてしまう。



『もうっ……何で笑うの……っ!人が真面目に』

『夕夏――』



降り下ろされる拳を間一髪でかわして、彼女の背中を抱き寄せて唇を重ねると、甘く気だるい溜め息がこぼれる。

唇を離し、俺は彼女を見詰める。

彼女はまだ真っ赤だった。

怒った様に口を尖らせて、俺を睨む。



『……キ……キスしてくれたから……許してあげる』

『ぷっ』



俺はまた笑ってしまう。






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