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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で
『夕夏』
毛布を掴んで降ろそうとするが、彼女は非力ながらも手先に力を込めて死守している。
『怒ったのか?』
もう少し力を入れて降ろそうとしたが、彼女は思いがけない怪力を発揮していて、毛布はびくともしない。
何故怒るのかよく分からない俺は、馬鹿みたいに彼女に許しをこうしかない。
『……俺の勝手な事情に巻き込んで、しかも夕夏の身体を好き勝手にして……申し訳ないと思ったから謝らなきゃならない、と思ったんだよ……
でも、それは間違ってたのかな……夕夏を傷付けたなら……悪かったよ……ごめん』
『だから!それを言うなって――』
彼女はまた顔を二ョキリと出して怒鳴った。
直ぐに捕まえようとすると、また引っ込む。
また俺が何かを言うと、ヌッと顔を出してまた引っ込む――
ゲームセンターのもぐら叩きゲームを思い出す。
ハンマーで彼女を叩くわけにはいかないが。
何十回もそんな事を繰り返す内に俺はいい加減焦れて、毛布ごと彼女を抱き締めた。