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愛しては、ならない
第8章 遊園地での賭け③
「キャ――!
剛さんの、勝ち――!」
私は、思わず全身で喜びを出してジャンプするが、悔しそうに唇を噛む祐樹を見て、あっと口を押さえた。
「ゆ、祐樹……頑張ったね?」
祐樹の汗をハンカチで拭ってやると、祐樹の大きな目からはポロポロと涙が溢れた。
私はギョッとして、祐樹に何と言って慰めようか――と考えを巡らせたが、祐樹は手の甲で涙をゴシゴシ拭うと、剛に右手を出してキッパリ言った。
「次は勝つからね――!
剛――!」
剛は目を一瞬丸くしたが、フッと顔を緩ませると、祐樹の小さな右手をしっかりと握り返した。
「おう!
……また、やろうな、祐樹」
「――――!」
手をがっちりと握り合い、笑い合う二人を見て、私は胸に熱い物が込み上げてきた。
全く性格の違う二人が打ち解けるのは難しいのでは、と心配していたけれど、やはり子供同士は子供同士なのか……
嬉しくて、それと同時に、悔しさも湧いてくる。