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愛しては、ならない
第53章 最後に、もう一度だけ②
誰も居ない事を願ってドアを開ける。
休日の今日は、祐樹も菊野も居るかも知れない。
或いは、病院に行ったままなのかも知れない。
もしも菊野が居たら、何と言葉をかけたら良いのだろうか。
夕夏を乗せて自転車を漕ぎ、彼女と軽口をききながらも胸の中ではそんなことばかり考えていた。
まずは、昨日のメールに返事をしなかった事を謝らなければならない。
そして、俺の今考えている事を伝えるのだ。
だが、上手く話せるだろうか?彼女を目の前にして、落ち着いていられるだろうか。
あの少女のような無垢な瞳に見詰められて、彼女の髪の甘い薫りを嗅いで、正気でいられるのだろうか?