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愛しては、ならない
第8章 遊園地での賭け③
「――私は、あなたに、家族になって欲しいし、なれると思うわ」
高鳴る鼓動を感じながら、私は平静を装って言った。
「その事ですが……
今日は、菊野さんにお話をしようと思っていました」
剛はその目を瞬きさせて、ゆっくりと話す。
「はい……」
私は、思わず背筋を伸ばした。
剛は、何が可笑しいのか、クスリと笑うが、直ぐに真剣な顔になる。
「園長先生から、僕の過去を聞きましたか?」
私は、息を呑んで、剛の目を見て頷いた。
剛は、側で水鳥に餌をやる親子にちらり、と視線を向けて、遠い目をした。
「僕は、両親が亡くなったと知った時にも、悲しいと思いませんでした。
一緒に生活していた頃は、僕は両親からは
"ペット"と呼ばれていました……
だから、飼い主の言うことを聞くのは当然だし、いつ捨てられてもそれは飼い主の勝手だ、てね」
「――!」
淡々と語る剛を、私はただ見つめるしか出来なかった。