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愛しては、ならない
第54章 四年後
「剛はさ、自分を変えるような出会いはないわけ?」
「……言っただろう……女は嫌いだ」
「えっちな事はするくせに――?最悪だな、お前」
「俺の話はいいよ……で、お前は」
「俺?」
剛は、ピアノの前から離れると葉書を翳して眺めながらソファに腰かけた。
「そういう生意気を言うお前は、運命の出会いとやらがあったのか?」
祐樹は瞳をキョロキョロと動かし、僅かに頬を染める。
「う――ん、俺が勝手に思ってるだけかも知れないしなあ……女の子ってシビアだよね。意外と夢見てないって言うか……」
「まあ、男はいつまでもバカだからな」
「……剛、今、バカ、ていう言葉を俺に向けて言ってなかった?」
「ん?気のせいだろ」
「い――や、言ってた!」
祐樹は、頬を膨らませて剛の後ろに回り込み、首を軽く締めてムキになる。