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愛しては、ならない
第54章 四年後
そう聞いた時に祐樹の目の奥に動揺の色が浮かぶが、彼は小さく息を吐いて低く呟いた。
「……家で母さんにちょっかい出そうとしたんだ。こいつ」
顔色を変える剛を見て、祐樹は苦く笑う。
「ああ……やっぱりお前に隠しておいて正解だったのかな……
そんなおっかない顔して……」
「どういう事なんだよ」
剛の迫力に気圧される様に、祐樹は少し後退る。
「四年前の話だよ。お前があの学校に入ったばかりの頃。
俺が学校に帰って来た時、玄関で奴が母さんを襲ってたんだ」
「――」
青ざめ、何かを叫びたそうに剛は口を開いたが、固めた拳を口の前に持っていき、瞼をきつく閉じて黙っている。
祐樹は彼の色を失う様を見ながら続けた。
「勿論、俺がこてんぱにやっつけて助けたよ。
母さんが、剛には言うなって……」