この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第8章 遊園地での賭け③
私は、そこでハッとする。
(好き――?)
祐樹を抱き締めながら、恐る恐る剛の方を見てみると、切れ長の冷たい瞳と視線が合わさり、同時に私の胸が痛い位に、鳴る。
剛の目の底に沈む、暗い色。
それを、痛ましいと思うと同じ位に、私は魅せられて居る……
剛の心の傷を癒したい、祐樹の良き兄弟になって欲しい、皆で仲良く暮らしたい――
その願いは決して嘘ではない。
けれど、それ以上に……
そんな建て前をひっくり返す位の、私の気持ちの本当の所に……
私は気がついてしまった。
「……菊野、さん」
「――っ」
剛が何かを言おうと、一歩にじり寄るが、私は震えてしまう。
そんな私を、祐樹が胸の中で澄んだ瞳で見ていた。