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愛しては、ならない
第56章 二十歳の同窓会
「……ごめん」
「私ね……剛君に本気でもう一度告白しようと思ってた……剛君は他に愛してる人……菊野さんが居るって分かってたけど……」
「……」
返事のしようが無くて狼狽える俺の額を彼女の細い指が軽く弾く。
「もう一度ぶつかって気持ちよく振られて終わりにしようって思ってた……」
「……清崎」
「なのに、剛君は私の前から綺麗に消えちゃって……」
「……」
「私はサヨナラさえ言って貰えない程度の存在だったんだ……て思ったら、なんだか一気に冷めちゃった」
彼女は舌を出し、左の手の薬指に光る物を俺に見せた。
「私ね、来年結婚するの」