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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②
体勢を立て直そうとする前に、森本が身を屈めて突進してきて俺の腹に頭突きを決めた。
「ぐっ」
腹を押さえて睨むと、奴は余裕の笑みを向けてくる。
「折角の四年ぶりの友人同士の会話がこれとは、何だかなあ」
「――お前の方から突っかかってきたんだろ」
「ふふ、まあそうだけどね」
奴は昔と変わらず綺麗な顔をしているが、やはりその瞳の中には底知れない光が宿っていた。
その長い睫毛に覆われた瞳を細め、ペロリと唇を舐めると歌うように言う。
「お前さあ……今すっごくいい顔してるよ」
「……あ?何言ってるんだ」
「昔はポーカーフェイスだったじゃん……ま、それも上手く出来てなかったけどね」
「――っ」
じりじりと近付いてくる奴から目を離さずに、俺はいつでも殴りかかれるように拳を固める。