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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②
彼女の声で、俺達の間にあった緊張の糸がプツリと切れ、森本は彼女に向かって小さく手を振り笑う。
「やあ、晴香……これが本当の水も滴るいい男ってやつ?」
「もう!何を馬鹿言ってるの」
彼女はピシャリと言い、バスタオルを手に走ってくる。
俺は、彼女に聞かなくてはならない事があったのを今頃思い出し、口を開いた。
「清崎……君が俺に四年前、くれたメールの事だけど」
「ほら、剛君も早く中へ入って!風邪引いちゃう」
彼女は森本の頭にタオルを被せ「全く、雨の中で喧嘩するとか、小学生でもやらないわよ!」と叱りながら俺を手招きするが、俺は外に立ち尽くしたままで彼女に再び聞いた。
「――森本と、菊野さんが、二人きりで会うって、俺に教えてくれただろ」
「――」
彼女が大きな目を何回か瞬きし、口を開いたが、森本が遮った。
「そんなに気になるならさ、菊野さんに直接聞けよ」