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愛しては、ならない
第58章 再会
誰にも自分の苦しい気持ちを打ち明ける事も出来ず――それは自業自得なのだが――
私は知らず知らず、ストレスをためていたのだ。
森本はそんな私の事が目に見えているかのように、メールの途中で私が泣き出した頃合いに電話をかけてきてこう言うのだった。
『菊野さん、どうせ夜中に一人でリビングで毛布に丸まって声を殺して泣いているんでしょう?
……ストレス晴らさないと、おかしくなりますよ?
……ていう訳ですから、また僕とデートしませんか?』
勿論私は断るのだが、彼の話術は巧みで、私の感情を上手く解放させて好きに泣かせてくれて、そして最後には私は笑い声をあげていた。
すると、彼は『元気になったみたいですね。安心しましたけど……う――ん、弱った菊野さんを手込めにするのも楽しそうだなあ……
今度は、もっと落ち込ませてから襲いに行っちゃおうかな~』
などど軽口をきき、私に怒られるのだ。
そんなメールと電話だけの定期便のような奇妙な付き合いが四年間続いているのだ。
勿論、疚しいことがないとは言っても、悟志や祐樹には内緒だ。
だが、彼にはどれだけ救われただろうか。