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愛しては、ならない
第58章 再会
そんな心配をよそに、作業は思いかもかけずスムーズに進み、クリームもムラなく綺麗に塗る事が出来た。
ケーキの上に食紅で色を付けたピンクのクリームを絞り、花が咲いた様な飾りに仕上げる。
銀色のアラザンを降らせ、均等にブルーベリーの実を散らせて完成した。
持ってきた数字の『2』と『0』の形をした蝋燭をポケットから出し、ケーキに刺した。
「剛さん、二十歳のお誕生日おめでとう~!」
彼が目の前に居るつもりで手を叩くと、幻の彼がいつもの涼やかな笑みで私を魅了する。
胸がきゅん、と痛んで思わず俯いて、笑いが込み上げてきた。
彼がそこに居ることを想像しただけでときめいてしまうなんて、これじゃあ四年前とまるっきり変わらないではないか。