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愛しては、ならない
第59章 再会②
だが、俺は間違っていた。
四年前、あっさりと彼女を離すべきでは無かった。
だって、現に俺は彼女を忘れられていないではないか。
彼女と距離をおいても、彼女以外の女を抱いても――
彼女以上に俺の胸を揺るがす存在は現れなかった。
会わなければ、彼女の面影は消えていくと思っていたのに、より色濃く俺の中に染み込んだまま、時にそれは苦さを伴って俺を苛んだ。
俺は息を切らし、横殴りの雨を全身に浴びながら走る。
菊野に会うために。
もう一度、菊野に愛を告げる為に――