この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第59章 再会②
「ええ……居ますよ」
菊野は時計の時間と俺を交互に見て、泣きそうになっていた。
まさかこんな時間になっているとは思わなかったのだろう。
不安そうに窓の外を見て、未だに収まらない雨風に瞳を曇らせる。
そんなに、早く帰りたいのだろうか?
悟志の元へ、悟志の腕の中へと帰りたいのか――?
『酷い天気だしねえ……電車も動いていないし……
僕が車で迎えに行こうかと思うんだけど』
「――……ません」
『え……?』
「今夜は、菊野さんを帰しません」
『――っ?』
俺は、彼が何かを言い返してくる前に受話器を置いて、電話の線を抜いてしまった。