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愛しては、ならない
第59章 再会②
「剛君……それはどういう意味――」
悟志が問い掛けたとき、既に電話は切れていた。
もう一度掛けてみるが、通じない。
菊野のスマホにも掛けるが同じ結果だった。
「一体何なんだ……?」
頭を抱え、悟志は所在なく部屋の中を歩き回る。
帰さない、等と、まるで意中の女性に対しての殺し文句のような事を――
剛が出ていった本当の理由を悟志は知らない。
菊野も辛そうに言葉を濁すばかりで何も言わないし、花野も『原因は一つではないのよ。でもね……あの子は私達には分からない事で傷付いてきたと思うの。そっとしてあげましょう』と言って、悟志の追求をやんわりとかわすのだ。
何故、剛を引き取る事になったのか、そして、その彼が突然出ていってしまったのか、疑問だらけだった。
だが、愛しい菊野が側に居てくれれば自分は幸せなのだ。
剛の事を話に出して彼女が悲しく顔を歪めるのを見たくなかった。だから何も言わずに居たのだが――