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愛しては、ならない
第59章 再会②
自分は四年前、菊野を烈しく抱いて喀血して倒れてしまって一月以上意識を無くし、一部の記憶――剛に関する事を忘れてしまったらしい。
思い出そうとすると頭痛が起こってしまい、恐らく自分の中の何かが記憶を取り戻す事を拒んでいる。
思い出したら何か不味い事でもあるのだろうか――?
悟志は、複雑なパズルのピースが、あとひとかけら嵌まれば全貌が明らかになるのに思い通りに行かない様なもどかしさを感じた。
――何かを忘れている。
重大な何かを僕は――
テレビをつけても、スマホを見ても天候が良くなる兆しは全く見えなかった。
「こんな夜に……菊野と剛を……二人きりになんてさせるか……」
悟志は、無意識に出た言葉に自分で驚き口に手をあてる。
「僕は……今、何を……」