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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
「……雨が」
リモコンを持ったまま、剛はテレビと私を交互に見る。
「ああ……ああ‼雨ね‼」
先程至近距離で見詰めあった事を思い出してしまい急に恥ずかしくなり、それを隠すかの様に必要以上に大きな声を出す私を見て、剛はクスクス笑った。
まるで、なにもかも見透かされている様で悔しかったが私は彼には敵わないのだ。
熱くなる頬を掌で押さえて彼を見詰めるしかない。
「……雨も風もやみそうに無いですね。収まるまで外に出ない方がいいです」
剛は静かにそう言って、私に近付いてきた。
思わず身構えて瞼を瞑ると、彼の気配が通りすぎ、キッチンの方から食器を出す音が聞こえてきて、私は瞼を開けた。