この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④
「じゃあ……僕はこっちに」
剛と私は左右に分かれ、入り口の前に立った。
「ママ――!
ムリしなくてもいいからね――!
どうしても怖かったら、係員のお兄さんを呼ぶんだよ――!』
祐樹が、ベンチから手を振っている。
私は手を振り返し、剛を見た。
「じ、じゃあ、参りますかっ!
スタート!」
キリッとした声で言いたかったのに、緊張で声がまた裏返った。
でも、もうそんな事を気にしている暇は無い。
剛よりも早く、クリアしてお化け屋敷を出なくてはならないのだから。
「大丈夫……怖くない~怖くない~
お化けは全部作り物かカボチャ……」
呪文を唱える様に、自分に言い聞かせながら意を決して中へ入ったが、入るその時まで剛に見つめられていた事を、私は気付かなかった。