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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
作った食事は全部売り切れて、空になった鍋と炊飯器を見て私は感嘆の声を上げた。
「うわ――っ気持ちいいわねえ、こうして全部平らげてくれると作りがいがあるわ~」
「菊野さんの料理が美味しいからですよ」
「――っ……ま……また――っ照れるじゃない」
「以前、言いましたよね。俺は、菊野さんが作ってくれる物が好きなんです」
「――っ」
剛は、さらりと私が涙が出そうに嬉しくなる言葉を言って来る。
目が潤むのを隠すように彼に背を向けて、私は冷蔵庫からケーキを出した。
「さあっ‼ここからが本日のメインよ――‼スペシャルバースデーケーキ――‼」
剛は頬を緩ませ、テーブルにケーキを置いて得意気になる私に拍手をした。
「……て、拍手されるのは剛さんの方よね?今からハッピーバースデーを歌って蝋燭をふ――ってして、パチパチパチパチってするんだから‼」
ムキになる私を見て、剛は笑った。
「ははは……菊野さん……まだ酔ってます?」
「だから‼酔ってないし‼」
「はいはい……あ、皿とフォークを出しましょう」
剛がクスクス笑いながら歩いてきて、軽く私の頬に指で触れてから棚の戸を開けた。
「……っ」
触れられた頬を思わず手で触れ、私はまたときめいていた。