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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
「……どうしました?」
「――っま……まだ目を開けちゃダメっ」
慌ててポケットに隠そうとするが、ハラリと手から離れて落ちていく。
剛の長い指が器用にカードを掴んで、私は思わず掌で顔を覆った。
――どうしよう……どうしよう……
彼を今でも恋しく思っているのを知られてしまう……‼
彼の小さな溜め息が目の前で聞こえ、私は身体を固くする。
「菊野さん――いや……菊野」
「――わ……私……もう帰らなくちゃ」
私は、彼の顔を見れないまま顔を逸らし、エプロンを急いで脱いでバッグを持ち玄関へ向かおうとリビングのドアノブを掴むが、彼に後ろから抱き締められてしまう。
「や……やだ……離して」
「嫌です……」
「ダメよ……‼」