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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋



「……や……離して……っ」



身体の力が全く入らずに彼の思うままにされているのに、言葉だけの抵抗をする私を、彼は軽々と抱き上げた。



「――!」



叫ぼうとするが、彼の真剣な表情にドキリとして、喉の奥が締まって声が出ない。



「悟志さんがそんなに心配なんですか」

「だ、だって」

「俺のせいで自殺未遂ですって?」

「……」



剛は、強い光をその切れ長の瞳の奥に宿らせ、キッパリ言った。



「本心を言います。俺は、あの人がどうなろうと関係ない」

「――!そ……そんな」

「それに俺は、命がいつ無くなっても構わないと思ったことは何度もありますが、自分から消えよう等と思ったこともないし、自分からそんな事をしようと思ったこともない。
……悟志さんは、菊野さんを置いて逝こうとしたんですよ?
俺は、絶対にそんな事をしない。菊野を置いていくなんて……絶対にするものか」

「――っ」


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