この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
「……や……離して……っ」
身体の力が全く入らずに彼の思うままにされているのに、言葉だけの抵抗をする私を、彼は軽々と抱き上げた。
「――!」
叫ぼうとするが、彼の真剣な表情にドキリとして、喉の奥が締まって声が出ない。
「悟志さんがそんなに心配なんですか」
「だ、だって」
「俺のせいで自殺未遂ですって?」
「……」
剛は、強い光をその切れ長の瞳の奥に宿らせ、キッパリ言った。
「本心を言います。俺は、あの人がどうなろうと関係ない」
「――!そ……そんな」
「それに俺は、命がいつ無くなっても構わないと思ったことは何度もありますが、自分から消えよう等と思ったこともないし、自分からそんな事をしようと思ったこともない。
……悟志さんは、菊野さんを置いて逝こうとしたんですよ?
俺は、絶対にそんな事をしない。菊野を置いていくなんて……絶対にするものか」
「――っ」