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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
「……何処かへ逃げる……?」
まるで、安っぽい昼ドラか何かのワンシーンみたいだ、と思い、こんな時に浮かんだそんな考えに可笑しくなってくる。
私は思わずクスリと笑いを溢した。
剛は、私が笑ったのが嬉しいのか、目尻を下げて優しい表情をして髪を撫でてきた。
「そうですね……何処がいいかな……北もいいけど……南もいいですね……沖縄とか……」
「沖縄……私、ちゅら美水族館に行ってみたいなあ……」
「ふふ……いいですね……」
「でも……しょっちゅう台風が来るから怖いわ……」
「俺がついてますよ」
剛はそう言って髪を指でそっと掴みキスをした。
彼のひとつひとつのたおやかで優雅な動作に見惚れながら、もう二度とこんな風に彼を見詰める事ができないのだ、という思いが沸き上がり、切なさに胸が詰まる。