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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
「……俺は、菊野と居ればそれだけで幸せだ」
剛は私の手を掴み引き寄せて胸に掻き抱き首を振った。
「言っただろう……菊野が居れば俺は」
「私と逃げて……逃げて二人でひっそりと生活して……
それから?」
私の言葉に、剛は目を見開いて絶句する。
――ああ、やっぱり彼は子供なんだわ。同じ年齢の青年に比べて大人びているけれど、そんな彼だって知らない事は沢山ある。
情熱ではちきれそうな今がこの先もずっと続くと信じて疑わない若さ――
その瑞々しい心が眩しくて嬉しいけれど、それだけでは生きてはいけないのよ……剛さん……