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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
私は、彼の真っ直ぐな髪を撫で、敢えて小さな子に言い聞かせる様にゆっくりと話す。
彼は多分、素直に言うことを聞かないだろう。もっともらしく常識を語る私を怒るだろう。
でも、私はもう貴方に愛の言葉を告げる事は出来ないの……だから……許して……
「そうして五年、十年、十五年、二十年……ずっと二人だけの世界で生きるの?……それでいいの?
それに私の方が先に歳を取るのよ?剛さんが三十になったら……私はもう四十四よ?」
「そんな事は分かって――」
瞳を煌めかせ声を荒げる彼の唇に、私は人差し指を立てて言葉を遮る。
不満そうに私を睨む彼がたまらなくいとおしくて、つい頬が緩んでしまうが、同時に涙も溢れ出す。
私の涙がはらはらと流れるのを見て、彼は唇を震わせた。