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愛しては、ならない
第63章 once again
エレベーターが一階に到着し、出るとそこは見覚えのあるロビーだった。
白で統一された壁、敷き詰められた青い絨毯、ラウンジの前にある噴水と天使の親子の像――
「こ……ここって」
私は思わず呟くが、悟志は足取りも軽く私を抱いたままターンしながら外へと出る。
フロントの従業員はにこやかに私達を見送りお辞儀をし、時折すれ違う宿泊客にはクスクス笑われ、恥ずかしくて顔を上げられない。
悟志の革靴がコツコツと音を立てて何処かに向かっているが、私は一体何が起こっているのか分からず、また悟志に意図を聞くことも出来ずに彼の靴先を眺めるしかなかった。