この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第63章 once again
九月の初日の今日はまだ陽射しも強く、項が熱く焼けるようだった。
だが一瞬気持ちの良い涼風が吹き、髪をフワリと靡かせ、私は思わず顔を上げて目を細める。
「気持ちいい……」
「うん、そうだね……菊野、着いたよ」
「……えっ」
悟志は私をそっと降ろして、微笑みながら何処から出したのか水色の華奢なハイヒールを出して、私に履くように目線で促した。
私は戸惑いながらハイヒールに足を入れてみる。これもピッタリで驚いてしまう。
しかし何より驚いたのは、ここがこの間真歩が結婚式を挙げた教会へと続く小径(こみち)だと言うことだ。
「サムシングブルーって言うんだよね」
悟志はそう言うと、驚きで目を丸くする私の頭をそっと撫でる。
「花嫁が何か青いものを身に付けると幸せになれるっていうのだろ……?真歩さんに教えてもらったんだよ」
「う……うん、そうだけど……でも何で」
「何でって……君が僕の花嫁だろう」
「――‼?」