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愛しては、ならない
第63章 once again


九月の初日の今日はまだ陽射しも強く、項が熱く焼けるようだった。

だが一瞬気持ちの良い涼風が吹き、髪をフワリと靡かせ、私は思わず顔を上げて目を細める。



「気持ちいい……」

「うん、そうだね……菊野、着いたよ」

「……えっ」




悟志は私をそっと降ろして、微笑みながら何処から出したのか水色の華奢なハイヒールを出して、私に履くように目線で促した。

私は戸惑いながらハイヒールに足を入れてみる。これもピッタリで驚いてしまう。

しかし何より驚いたのは、ここがこの間真歩が結婚式を挙げた教会へと続く小径(こみち)だと言うことだ。



「サムシングブルーって言うんだよね」



悟志はそう言うと、驚きで目を丸くする私の頭をそっと撫でる。



「花嫁が何か青いものを身に付けると幸せになれるっていうのだろ……?真歩さんに教えてもらったんだよ」

「う……うん、そうだけど……でも何で」

「何でって……君が僕の花嫁だろう」

「――‼?」









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