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愛しては、ならない
第63章 once again
私は貴方を裏切ったのに。何度も何度も。貴方も今はそれを知っている筈なのに。何故そんなに優しい目で見詰めるの?
そんなに優しい声で語りかけるの?優しく触れるの――?
剛の事を忘れてしまう程にストレスを感じていた貴方は自ら命を捨てようとした事もあるのに――
何故そんな風に笑っているの――?
色々な疑問が渦を巻いて胸が詰まる。声に出して悟志に聞きたかった。でも声に上手く出すことが出来ずにしゃくりあげる私を包み込む様に悟志は抱き締めて静かに言う。
「……剛の事を……昨夜全部思い出したんだ」
「――‼」
「君と剛が愛し合っているんじゃないか、て疑って悩んだ事も、あの夜の事も――病院で僕が自殺を図った時の事も……」
「さ……としさん」
抱き締められながら、彼の腕を強く握る。