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愛しては、ならない
第63章 once again
悟志はふっと笑って空を仰ぎ、目を細めた。
「剛が電話で言った言葉がショックで訳がわからなくなって……気がついたら車のキーを握り締めたまま玄関で倒れてたんだ……
そしたらもう夜明けが近いじゃないか。慌てたよ。君を一刻も早く取り戻して、茨城に式を挙げに行かなきゃなのに――てね」
「……わ……私は剛さんと」
「言わなくていい……菊野」
悟志の指が私の唇を塞ぐ。
「もちろん……僕は彼を憎くない訳じゃない……でもそれ以上に菊野を愛してるんだ」
「――っ」
「僕はバカだった。君と剛の事を知ってショックで自殺を考えるなんて本当に大バカ野郎だよ……
正面切って剛と戦わなくちゃならなかったのに……僕はそれをせずに逃げようとした……
自殺して……君の心に傷をつけてやろうと思ったんだ。僕がすべきことは他にあったのに。君の心を取り戻す努力をまず先にしなくちゃならなかったのに」
「さ……悟志さん」