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愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④
少女は前を向いて、一歩一歩進み始めた。
私は、走って止めに行こうとするが、身体が動かない。
(今なら、引き返せるから……
戻って!)
叫んだ時、少女の目の前に巨大な木が突然現れ、行く手を塞いだ。
木は風に揺れ、木の葉が無気味にさざめき、枝の先から次から次へと新しい芽が生えて、大きくなっていく。
『そこをどいて……!
私は行かなくちゃならないの!』
少女が叫ぶと、木はミシリ、と神経に触る音を立て、幹からぎょろりとした巨大な眼が一つ姿を現した。
(ひっ―――)
私は、その眼を見た途端金縛りになった様に身体が固まってしまうが、少女は果敢に向かっていく。
『――お願い、そこを通して!
ふたごが待ってるの……
泣いて、私を待ってるの!』