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愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④
巨木が瞬きをすると、睫毛の動きで強風が吹いた。
少女はよろめき、足を踏み外してしまう――が、辛うじて手で掴まり、踏みとどまる。
(――!大変……!)
私は、動こうともがくが、思うようにいかない。
少女は指先に力を込めて、歯を食い縛り耐えているが、限界は近い。
今や、少女の身体を支えるのは両の手の小さな指先だけだった。
巨木の眼が、せせら笑う。
『……自分の身も守れない奴が、他の人間を助けられると思うなど、なんて愚かな事……
ヒッヒッヒ……』
『お願い、そこを……どいて……』
少女は、苦悶の表情を浮かべるが、巨木の眼はおぞましい光を放ち、少女の目を眩ませる。
『あっ――』
少女の指が離れ、闇に堕ちていく。