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愛しては、ならない
第63章 once again


「ターンタカターン、タンタカターン」



悟志は真剣な表情で結婚行進曲を口ずさみながら教会の扉を開けた。

重そうな音が、誰も居ない教会の中に響き渡る。

参列者も、神父さえも居ないそこは、真歩が式を挙げた同じ場所には思えないほどに厳かで神秘的だった。

私が、こんな神聖な場所へ入っていいのだろうか――とまた思ってしまうが、悟志に強引に引っ張られ、祭壇の前まで来てしまった。

悟志は祭壇に置いてあった花嫁のヴェールを恭しい仕草で私に被らせ、耳元で「綺麗だよ」と囁いた。

ボッと頬が燃えて、俯いていたら、悟志は祭壇の向こうに立って、何処から出したのか、白い付け髭を顎に貼り付けて咳払いしている。



「あ、あ――あ――、ただいまマイクのテスト中……て、マイクなんかないじゃないか‼」



何故かノリ突っ込みをしている彼を私は呆気に取られて見ていた。


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