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愛しては、ならない
第64章 エピローグ
「ぐあっ……」
ガッチリとした悟志が本気でタックルしてきた衝撃で、俺は壁に背中と頭を打ち付け、途端に錆びた金属の匂いが鼻腔いっぱいに広がり、瞼の裏に火花が散った。
悟志は狼狽えた表情で、踞る俺に「ごめんね、本当にごめん‼……でも……菊野だけは渡せない……‼な……何度奪いに来ても……ぼ、僕は負けないから……
菊野をどうしてもほ、欲しいなら、僕を殺して奪ってみなさい――‼」
と叫び、ドタバタと走っていってしまったが、意識が飛ぶ寸前の俺は彼のこんな言葉も聞こえていた。
「……あ……剛くん……僕、急ぐからこのまま行くけど……もし怪我していたら……ちゃんと病院に行くんだよ――」