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愛しては、ならない
第64章 エピローグ
「ハイエナがやって来た――‼いや、小猿かっ」
「猿いうな――っ」
「おい……みっともないから静かにしろ。このテントには他のバンド連中も居るんだからな。クレッシェンドの品格を落とすようなガキのような振る舞いは――」
キャンキャン小競り合いを始めた祐樹と三広に俺は説教しようとするが、向こうで亮介が同じレーベルで看板の超人気バンド『BEATS』のボーカル稲川(いなかわ)と大騒ぎをしているのを見て絶句する。
稲川と亮介は変な人形を作って、何故かお互いを叩きあってゲラゲラ笑っていた。
どうやらテルテル坊主らしい。
野村はパイプ椅子に座ったまま上を向いて口を開けたまま爆睡しているし、俺は脱力して溜め息を吐いた。
「いいじゃんか、稲川さんもはしゃいでるんだし――どうせ同じレーベルの仲間なんだから、な――?」
「な――っ‼
……それにさあ……今暇だし、なんかしてないと眠くなるじゃん。野村はもう寝ちゃってるけど‼」
祐樹と三広はそう言うと、眠る野村の瞼に油性のマジックで何かを書いている。