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愛しては、ならない
第64章 エピローグ
しかしスタッフ以上に狂喜しているのは会場の客達、そして出演者達だった。
皆奇声を上げて隣の人とハイタッチしたり抱き合ったり跳び跳ねたりしている。
「天候が回復しましたので、ライヴを再開します……なお、足元が滑りやすくなっていますのでお客様におかれましては充分にお気をつけ下さい……
では……準備が整い次第、始めます」
会場に響くアナウンスに客達は歓声と拍手で応えた。
「っ――――‼‼」
稲川はガッツポーズを決めて身体を仰け反らせながら、よく通るシャウトをテントの中で爆発させて、そこに居合わせた人間達は耳を塞いだ。
「稲川さん、そろそろステージへお願いします」
スタッフに呼ばれ、稲川は叫びながら踊るような足取りで行ってしまう。