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愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④




「ほし……い……のっ」



手を伸ばすと、力強い温もりに包まれて、暗闇に一筋の光が差した。



「……野……
菊野……!」



「……さと……しさん?」


見慣れた寝室の天井と、心配そうに見る優しい夫の顔が目の前にあった。



悟志は長い溜め息を吐くと、私の手を強く握り締めて呻く様に言った。



「良かった……
菊野……」



私は、どの位眠っていたのだろうか?



時間の感覚がまるで無かった。



身体を起こそうとするが、目眩に襲われ、またベッドに沈んでしまう。


悟志が髪を撫で、目を覗き込み笑った。



「何か、食べるかい?
……実はね、お粥の次はうどんに挑戦したんだよ……」



得意気な悟志に私は思わず笑った。



「……おや、その顔は僕の腕前を疑ってるね?
見ててご覧、とびきり美味しいうどんを作ってあげるからね!
ちょっと、待ってなさい」


悟志は腕捲りをして寝室を出て行った。



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