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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
「や……やっばり私が……ごんなんだから……
おがーさんとも……ママとも呼んでぼらえだいぼべっ!?」
私がうぐうぐ泣きながら剛を見ると、彼は涼やかな目元を緩ませて笑った。
その笑顔を見た時、私の胸の中で何かが弾け、彼から目を離せなくなってしまう。
(剛さんが……
笑ってる……)
今まで私が見た事の無い笑顔だった。
整っているけれど彫刻の様に堅い笑みを、彼はよく浮かべている事が多かった。
目の前の剛は、少なくとも作り笑いでは無く、私を見て笑っている――
「西本さん?
百面相ですか?」
園長のあきれた声で私は我にかえる。
いつの間にか、私はニヤニヤ笑っていたらしいのだ。