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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
私は構わず、顔面に力を込めたまま剛にキッと向き直った。
「な……名前は止して欲しいのっ」
「え?」
剛は意外そうに目を見開いた。
私は拳を握り締め力説する。
「き、菊野って、何だか地味な名前じゃない?
私、花の名前なら、もっと可愛いのが良かったのよ!」
園長が、掌を打った。
「ああ~
例えば、薔薇とか牡丹とかツツジとかですかっ?」
剛も腕を組み真剣に呟いた。
「……花……
シクラメン……に……
マーガレット……マリーゴールド……」
二人の出した突拍子も無い例に私はずっこけそうになりそうだった。
「いやだから……
桜、とか、カスミ、とか……桃とかあるでしょうっ?」
二人は私の言葉に、大きく頷いた。