この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第10章 カーネーション
「いつもすいません」
礼儀正しく頭を下げる剛に、私は手をヒラヒラ振る。
「もう~っ!
だから畏まらなくていいのよ!
春からはお家で一緒に暮らすんだからっ!
……時間が無くてカップケーキになっちゃったけど、次はもっと凝ったもの作るわね!」
「そんな……悪いですよ……
いただきます」
彼は、紙を剥いてケーキを口に含んだ。
私はドキドキしながら、彼の顔を穴の開くように見てしまうが、こんなにガン見されたら食べにくいよね、と思い顔を逸らした。
「……美味しいです、とても」
「――ほんとっ!?」
私は勢い好く振り返り、手を叩いて喜びを表してしまう。
「……好きな物の事ですけど」
「え?」
剛が、ふと真顔になり、私は身を乗り出した。