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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
「……家中のありとあらゆる所を探して、食べ物が無くなると、外の草とか木の実だとか取って食べてました」
「え、ええっ!」
私はつい叫んでしまう。
剛は微笑し、窓から見える庭の花壇を指差した。
「ほら、その赤い花なんか、吸うと甘い蜜が出てくるんですよ?
……まあ、中にはとても食べられたものじゃない草もあって……
不味いだけで済めばいいんですけど、食べた後で身体中が痺れて寒気が止まらなくなったりとか、たまにありました」
彼は淡々と語るが、私はただただ驚きの連続だった。
「だ、だ、大丈夫だったの?」
「その時は、死ぬかと思いましたけどね。
まあ、なんとか持ち直したから、こうして生きてます」
剛は笑うが、私は胸が詰まって何も言えなくなってしまい、俯いた。