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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
「ほら!剛もする!
早くしないと起きちゃうよ~!」
祐樹が剛を急かすように言うが、剛は今どんな顔をしているのだろうか?
私は、胸をバクバク鳴らしながら、彼の表情を見たくて堪らなかった。
「いや……けど」
「剛はもうここのお家の人でしょ?
パパだって、ママにお早うのチューとか行ってきますのチューしてるんだよ!
だから剛も――!」
「え……けどそれは……」
剛がかなり困っているのが声色で分かる。
(そ、そうだよね……
剛さんからしたら私なんておばさんだし……
親でも何でもないんだから、したくないよね)
少し傷付きながら、私は彼を窮地から救うには、自然に目覚める演技をするしかないと思い付いた。
(良いタイミングで起きなくちゃ……)