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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒
そう言われる度に剛は静かな笑みをたたえ、
「まあね」
と言い、男子には
「うっわ~嫌な奴!」
と冗談混じりに爆笑され、女子達はますます彼に憧れの眼差しを向けたのだ。
だけど私は、複雑な心境だった。
祐樹とそっくりな男の子が欲しくて剛を引き取り、兄弟仲睦まじく、悟志とも良い関係に一見は見える。
人に、祐樹とそっくりだと言われる事があまりにも多いのだが、その事で嫌な気持ちになったりしないだろうか?
剛はいつも落ち着いた物腰を崩さず、私が慌てたりドジをした時にも彼はクスリと笑い、
「菊野さんは、子供みたいですね」
と言った。
最初、彼にその台詞を言われた時には激しく落ち込んだが、何故だろうか。
言われる回を重ねる毎に、甘いときめきが胸の中に積もっていくのだ。
今ではそれを言われる度に心臓が跳ねてしまう。