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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒
私は頭をブンブン振り、椅子から立ち上がり拳を握り締め気合いを入れた。
「あ――!
物思いに耽ってる場合じゃないし――!
今夜はじーじとばーばもお祝いにくるし、御馳走の用意をしなくちゃ!」
剛の高校合格発表の今日、悟志も早めに帰る事になっていた。
実家の父と母も久し振りに来るので、おばあちゃんが大好きな祐樹は昨日から楽しみにしている。
私は頭の中で今日の献立と、作業の流れをざっとおさらいして一人で何度も頷いた。
(サラダはもう冷蔵庫に入ってるし、チキンは仕込んであるから後は焼くだけ、シチューも完璧……
あとはパエリアを炊いて……)
「そうだっ!
ケーキ!
頑張って仕上げちゃおう!」
私は再びヘラを持ち、表面に滑らかに白いクリームを塗り、今度は食紅で色付けしたピンクのバタークリームを細いヘラを使い花弁の形を作っていく。
白いケーキの上に、ピンクの薔薇がいくつも咲いた様な仕上がりに私は大満足しながら一人悦に入っていた。
「うんうん!素敵!
……でも、少女趣味っぽいかなあ……
ま、いいか!」