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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒
「すいません……菊野さんの叫びが聴こえて、心配だったんですけど……あの時は友達が来てて……」
――やはり、私の情けない叫びはまる聴こえだったのか。
あの女の子にも聴かれたんだろうな……
私は、彼女の恥じらいに染まる頬と、華奢な手が差し出したギンガムの紙袋を思い出して切なくなった。
「――菊野さん?」
剛が訝しげに見ていたが、切れ長の瞳を見返す事が出来ずに私は、ついとんちんかんな事を言ってしまった。
「つ、剛さん、他にも沢山チョコ貰った?祐樹もね、学校で貰ったらしいのよ……あ~、剛さんも祐樹もモテるから、ホワイトデーが大変ね!」
「モテないですよ」
剛は真面目な顔をして言ったが、私は全力で否定する。
「い――え!滅茶苦茶モテてるし!朝の女の子にだって告白されてたじゃないっ!」
軽口のつもりが、最後は怒った様な言い方になってしまい、私はハッとする。